下手くそな恋を泣きながら


「あの人から預かってきたよ。渡さなかったら俺が恨まれるから」

″あの人″に訝しげな反応を見せた部長は中身を確認することなく「わざわざありがとな」と紙袋を受取り、横に置く。


恋人からの贈り物だろう・・・。

それなのに、にこりともしない。


周りに人がいるから照れてそのような態度をとっているのか、もし私がその相手の立場ならどんな場であれ、少しくらいは笑顔を見せてもらいたい、

それは女のわがままだろうか。


「お礼の電話くらいしてやれよ?」

気を回す春坂先生に同調して、私も思わず頷いた。

反応を見せない部長に、春坂先生は言葉を続ける。


「暦通りの休みがある仕事に就いてるんだ。一ヶ月に一度くらい顔を見せてやれよ。

いつも首を長くして待ってるぜ?」


「やめてくれよ・・・」


恋人がそのような態度でいてくれてるというのに、まるで嬉しくなさそうな部長。

二人は、あまりうまくいってない関係なのかと、失礼ながら勘ぐってしまう。


「私も、会いたい人にはいつも会いたいタイプなので、お相手の方の淋しさが分かります・・・」


余計なお節介と思いつつ、女心的なアドバイスをすると「あの人といると、体力的にも精神的にも保たない。

体力なんていくらあっても底をつきる・・・」

ぎょっとする私を、不思議そうに横目に見る部長と目が合った。


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