下手くそな恋を泣きながら
夕方5時、定時に仕事が終わったメンバーは送別会が始まるまで何をして過ごすか、ちらほらそんな話題が飛び交っている。
私は作成した資料を纏めて、急ぎ足で部長のもとへと駆け寄った。
「これ、確認しておいて下さい。」
きっと先生も今頃仕事が終わったとこだろう。
待たせなくない。
早く駅に向かわなくては・・・
「・・・森山、今夜の送別会欠席になってたな?」
資料を受けとりながら、不思議そうに私を見る部長。
一瞬、春坂先生の様子がおかしいことを部長に話すべきか悩んだ。
けれど、止めた。
会いに行くなんて言ったら、向こうの家庭のことを考えろと頭ごなしに反対されてしまいそうだから・・・。
「私だって、たまには用事があるんですよ」
愛想笑いを浮かべて、すぐにその場を立ち去った。
一度家に帰宅する余裕もなく、タクシーに乗り込むと真っ直ぐ駅に向かう。
切符売り場で待ち合わせの駅の名前を確認しながら
春坂先生のことばかり頭に浮かんでいた。
心配。
会いたい。
どちらの思いが強かっただろうか・・・
電車がホームに着くまでの30分がやけに長くて、ようやく、むこうに小さく電車が見えた頃
私を呼び止めるように
携帯が鳴った。
電話の相手は部長だ。