下手くそな恋を泣きながら


「もしもし、森山です。」

『森山か?今、どこにいる?』

少し慌てた感じの口調。

「・・・駅・・・ですけど?」

『春坂のとこに行くつもりか?』

「な、なんで部長がそんなこと知ってるんですか⁉」

まさか部長も春坂先生から?

私の驚いた声を聞いた部長の一瞬の反応から直ぐにそれが違うことがわかった。

『行くな』

「・・・春坂先生、いつもと雰囲気が違ってた」

『それでも行くな」

どうして部長にそこまで引き留められなきゃならないのか理解できない。

春坂先生に奥さんがいるから?

でも

らしくない先生の雰囲気を感じ取ったそこに、奥さんとか、結婚してるとか

そんなこと関係ある?


「部長には関係ないじゃないですか・・・」

『俺が行って欲しくないんだ!!』

突然厳しい口調が耳元で怒鳴るわけでもなく響いた。


・・・なぜ?

問いかけるまもなく

さっきまで永遠にこないように感じていた電車がホームに到着した。

私は

耳元で聞こえてくる声を無視して

春坂先生へと運んでくれるその電車に乗り込んだ。



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