下手くそな恋を泣きながら
さっきまで春坂先生で一杯だった頭の中
今は部長の悲しげな顔が浮かんでる。
見なくても分かる。
あの声色・・・
部長の必死な表情が分かる。
でも・・・なんで?
なんで部長が私を引き留めるの?
まるで、妬いているような言葉。
わからない。
だって部長には・・・
考えてもキリがない。
気づけば電車のアナウンスは私の下りる駅名を告げている。
もやもやした気持ちを抱えたまま駅の改札口を出ると、春坂先生の姿が見えた。
会いたいと望んでも、望みのままに会えないはずのその姿が今、私の目の前にいるというのに・・・
気持ちは晴れないままぎこちない笑顔だけ浮かんだ。
「先生・・・お待たせしてごめんなさい。」
小走りに駆け寄ると、申し訳なさそうに肩をおろし、神妙な笑顔を浮かべる先生は、やっぱりいつもと違う。
「突然、ごめんな・・・」
「いえ、誘ったのは私のほうですから
それより・・・あの・・・こんな時間に大丈夫でしたか?」
顔を見て、ようやく春坂先生の奥さんのことが気にかかった。
それを察したのか先生は軽く「家の方は心配ないよ。余計な気を使わせてごめんな。」と笑った。