下手くそな恋を泣きながら
見たこともない先生の表情がショックで、息を飲んだ私は、私を追い越して歩いていくその背中を追いかけて
思わずその後ろ姿に抱きついてしまった。
先生は何も言わないで黙りこんだまま立ち止まる。
私も
言葉にならなくて
だけど
どうにかしてあげたくて。
笑顔にしてあげたくて。
私が守ってあげたくて。
そんな一心で抱きつく腕に力を込めた。
どれ程の時間をそうしていただろうか
数分だったかもしれなければ数十分だったかもしれない。
もしかしたら
・・・数秒程の時間だったかもしれない。
沈黙を破ったのは「成長して怪力になったな」からかうような笑い声をあげた先生の声で
さっきまでのシリアスな雰囲気が突然吹っ飛んで
呆気に取られた私のおでこを、振り返り指先で小突く。
「慰めてくれてありがとな。
でも、こんなところ万が一にも誰かに見られたら大変だろ?」
困ったように笑う先生。
こんな場所で、誰か知り合いに出会す確率は極めて低いだろう。
それでも
聖職者である先生の立場を考えない浅はかな行動をとった自分が恥ずかしかった。
「・・・ごめんなさい。」
顔を見れずに俯き呟くと、あの頃と変わらない優しい手が私の頭を撫でた。