副社長と愛され同居はじめます
翌朝、寝不足の頭で出勤した。
庶務は日陰部所だけれど、雑務が多くて案外忙しい。


頼まれていた備品を届けに、カートを押しながら各フロアを回っていた時だった。


部下を従えて、颯爽と歩く成瀬さんを見た。


足が自然と止まった。
私だけじゃない、誰もが一度は足を止め彼を振り向く。


秘書と言葉を交わし、自分よりも年上だろう部下に指示を出しながら、フロアの中央を横切る。


その風格たるや、威風堂々。


纏う空気が違う、見えているのに違う世界。
住む世界の違う人。


一度も会わない視線が、それを物語っているようで。
尚更昨夜の出来事が、まるで夢のように感じられた。


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