副社長と愛され同居はじめます


「今も、その人に会って来たんじゃないんですか」



何を聞いても納得いく答えが返ってくるような気はしない。
すっきりしないまま気力だけが萎えていく。


そんな私をわかってもいないのか、成瀬さんはいきなり地雷を踏んだ。



「小春、嫉妬?」

「……は?」



こっち怒ってる時にそんなことを聞くと余計イラっとするのわかんないのか!



「違う。嫉妬じゃないムカついてるだけ」



そう言うのに、成瀬さんはなんだか矢鱈と嬉しそうに唇を綻ばせる。



「それは嫉妬って言うんじゃないのか」

「違うって言ってるのに!」

「小春」



こんなに感情が対照的な状態って滅多にないと思う。


私はムカついて腹立って怒ってて泣きそうなのに、成瀬さんは笑いながら私の手首を取り、抱き寄せた。



「こっ、香水の匂いがする!」



最悪だ!


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