和花葉さんは今日も




が、何から聞こうか……。




「えーっと……」




俺をじっと見て、質問を待つ彼女。




「あー、その猫って野良猫?」




いやいや、昨日、和花葉さんがここはこの子の住み処だって言ってただろ。

何を分かりきったことから聞いてんだ、俺。




「うーん……。まあ、そういうことになるかな」




ん?

言いまわしが妙だ。

正式には、野良ではないということか?




「……名前、あるの?」

「太郎だよ」




太郎っぽい色合いだから、と猫――もとい太郎を撫でながら言う彼女。




……太郎っぽい色合いって何?

太郎って名前の人が好きな色とか?

そんなものに一般論などあるのだろうか。




思った以上に、山本和花葉は不思議な感性の持ち主らしい。




「その猫――太郎、野良猫に見えない」

「……」




思ったことを言うと、彼女は黙ってしまった。

太郎を見つめる横顔が、少し悲しそうに見えた。

聞いてはいけないことだったのか。






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