【完】BLACK JOKER -元姫VS現姫-



「ほら、行くぞかの」



「ゆ、夕ちゃん」



「お前の好きな綿菓子買いに行こう」



手を差し出されて、真っ赤な顔のままそれをそっと握る彼女。

ふっと笑った夕李がわたしに目配せして連れて行ってくれたから、きっと気づいてるんだろうなと思ったけど、あえて何も言わない。



大丈夫よ、かのちゃん。

その頬の赤さの原因が隣にいる夕李だってことは、わたしだけじゃなくて夕李も気づいてるから。



「いってらっしゃい。

かののこと無事に連れて帰ってきてよ?」



「相変わらずシスコン発揮してんな。

かのが"帰りたくない"ってわがまま言わねー限りは、ちゃんと送って帰ってやるよ」




その発言のせいでかのがさらに真っ赤になってるけど。

なんかもうキャパオーバーって顔してるけど。縋る妹の瞳は無視して「いってらっしゃい」とにっこり見送ってから、ようやくみんなの方を振り返った。



「……ごめんね、騒いじゃって。

邪魔だったら、わたし帰るけど、」



「待て待ておじょうさん〜?

明らかにお前ツッコミどころのある行動しかとってねえからな〜?」



こっちこーい、とみやに呼び出されて駆け寄ったら「浴衣似合ってんな」って褒めてくれた。

それにありがとうと言おうとしたら、不意にわたしの肩をつかむ手。ぐっと引き寄せられたせいで、大きくバランスを崩した。



「っ、ちょ……っ」



倒れる、と焦ったのは一瞬。

ふっと抱きとめられて鼻に届く香りに、ドクッと大げさなほど心臓が跳ねた。──いま、わたしを、抱きとめてるのは。



「あ、やせ、」



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