【完】BLACK JOKER -元姫VS現姫-



意識した瞬間、かあっと顔が熱を帯びるのがわかる。

耳元で吐き出された、呆れたような迷惑そうなため息すら甘く聞こえて、熱い。……こんなの、恥ずかしくて顔見れない。



ただでさえ、会うのはひさしぶりで。

最後に会ったのは、駅でキスされたあの日なのに。



「あやせ……、はなして、」



「狡い女だな」



小さく囁かれたそれに、ぴくりと肩が跳ねる。

ずるいって、なに。ずるいのはわたしのことを抱きしめてる綺世で、いますぐ離して欲しいのに。どうして、こんなに強く抱きしめてるの。



「綺世、会えてうれしいのはわかるけどとりあえず離してやれって。

ひのがすげー困った顔してんだろうが」



わたしが彼と別れていることも、綺世を好きでいることも知ってるそなたが助け舟を出してくれる。

おかげで力が緩んでほっとしたのに、うなじあたりに触れたやわらかい感触のせいで走った刺激に、さらに頬がカッと熱を持つ。




「ひゃ、ちょ……っ、」



何して、と。

言いかけたのにくちびるから漏れそうになったのは言葉ではなく反射的な声で、思わず手の甲でそれを隠して散らした。



ピリッとした痛みの後に、ちゅ、と甘ったるい音。

あきらかに人に聞かせるものではないそれに真っ赤になったわたしを、綺世がようやく解放してくれたけど。



「っ、」



ずる、と腰が抜けたようにその場にしゃがみ込むわたし。

いま綺世に、何された……?っていうかこの人みんなの前で何して……っ。



「うわ、結構くっきりついてるよ?

……こんなに"俺の"ってアピールするぐらい好きなら、面倒なことせずにさっさと言えばよかったのに」



座り込んでうつむくように首を下げてしまったせいで、彼が触れた部分が綺麗にあらわになったらしい。

音ちゃんの言葉もまともに理解できないぐらい、顔が真っ赤だし全身が熱い。おまけに頭は真っ白だ。──だってそこって、前に夕李が痕を付けてた場所で。



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