祐也と私と一平先輩
沈黙の後、少しためらうように小坂くんは口を開いた。

「一平さんと綾乃に何があったか....実は知ってる」


「えっ?!」


今度は私が体を起こして小坂くんの顔をまじまじと見つめた。


「ほんとは少し前に聞いてた。
....四年前、一平さんが母親の再婚を知らされて、自暴自棄になって自殺しようとしたとき、お前『一緒に死ぬ』って言ったんだろ?」



時空が歪んでフラッシュバックするような感覚。

鮮明によみがえる記憶。



────そう.....あれは四年前の出来事。

一平くんが中学二年で私が六年生。

ある日、一平くんに新しいお父さんが出来るって教えられた。


一平くんは笑顔で「新しい親父と上手くやるよ」って私に話してくれた。

私は子供だったからその言葉をそのまま素直に信じた。


だけどそれは一平くんの本心じゃなかった。

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