祐也と私と一平先輩
私がそれに気づいたのはそれからだいぶたった頃だった。

優しくて優等生だった一平くんが学校で問題を起こしてるって、お母さんから聞いた時だった。


居ても立っても居られず、一平くんの家に駆け付けた私は目を疑ったんだ。


メチャクチャに荒れた部屋。

破れたカーテンに割れた窓に張られたガムテープ。


倒れた椅子に散乱した洋服。


目を覆いたくなるような光景だった。


ぼう然と立ち尽くす私を一平くんはベッドに押し倒して、

『俺の女になれ』って言った。


まだほんとに子供だった私は何が起きたのかわからず、ただ

『怖いよ一平くん』って泣きじゃくった。




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