姫、私は誓います。
姫の近くにいたい。ただそれだけで兵士になった俺と兵士になりたくてなった周りの実力は、比にならないほど俺の上を行っていた。初めて武器を手にしたのが俺だけであるほどに周りとの壁は高くて厚かった。でも、そんな俺をティータイムに姫は呼んだ。そして、ただ何も聞かずにトランプゲームをして盛り上がっていた。あの数回の中で心から楽しめない時が無かったわけではない。むしろ、なんで俺なんかに構うのだろうくらいにしか思っていなかった。ただ、ティータイムが終わった後に必ず言われる挨拶が兵士を辞められない理由だった。

「またね」

ただそう言われるだけなのに、この上無いくらいやる気が出て強くなろうと決めた。姫からしたらただの挨拶かもしれない。ただの礼儀なのかもしれない。それでも俺の活力になったんだ。その事実は言葉の意味が何であろうと変わる事など無いだろう。でも、姫のそばで仕えてみて言葉の意味が何なのか考えてしまう事もある。
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