姫、私は誓います。
「甘いね、考え。そう思うならさっさと決めちゃいなよ」

彼女は呆れたように俺を見ていた。見損なったかのような冷たい目で俺を見ていた気がした。どうしてなのかは分からないが、きっとランバートの話を信じて俺を高く見すぎていたんだと思う。きっと、もっと凛とした人だと感じていたんだと思う。俺はそんな立派な人ではない。いつも迷って悩みながら道を決めて、ふっと後ろを向いた時に後悔してきた。何度も何度も過去を遡って、あの時ああしていればとかこうしていればとか悔やんでいる。周りが思っているほど立派な人じゃないんだ。

「あなたがどれほど立派な人かは知らないけど、ランバートの期待に応えてからグチグチ言ってくれないかな。あの人だって老い先短い事は知っている。孫の顔、見せてやりたいんだ」

彼女から見たらランバートは父親同然。一緒に暮らし、恋に発展する事がなかったのは彼女の感情を裏切りたく無いからか。
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