姫、私は誓います。
ラークペイが言い返せない事は分かっていた。人を一途に愛する事は出来るが、自分の思いをちゃんと伝えられない口下手だったからだ。ただ一途に何かを取り組む事が出来るラークペイだからこそ、人の感情の変化を察知するのが早かったのかもしれない。ラークペイは、俺も気付かないうちに流れた涙を流れる前に感じ取ったんだ。
そんな彼だからこそ、なのかもしれない。姫が彼に惹かれていっているのは。周りの色を知っていきながらも自分の色を変えない。変わらずに生きている彼だからこそ惹かれるのだろう。自分がそうなれないから俺は彼を羨むのだろう。
今も自分達の立場を弁え、一線を越えてはいけない。二人は自分達の立場を理由に思いを伝えられずにいる。両思いである事を知らずにただ悩んでいる。ラークペイはあの時から俺の友人で、姫は俺の片想いの相手。二人を第三者として近くで見ているから分かる。二人は愛し合っている。なのに自分達の立場が邪魔をして互いに確かめ合えていない。
友人に対する姫の気持ちに気付いた時、俺はこの恋を友人に委ねようと思った。
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