姫、私は誓います。
ここは俺の出る幕ではない。もっと相応しい人がいるはずだと。せめて、両思いである友人には叶えてもらいたい。そのためなら俺は身を引き、裏手に回ろう。
好きな人を自分の者にするのか、好きな人が望んだ幸せを見守るのか。俺は好きな人の幸せを願いたい。そうするには二人の恋路を見守り、裏で支えていく事が一番願いに近い気がした。そして、二人のどちらかの気が変わってしまう前に伝える事が出来れば違う道を歩めているのだろうと強く思う。
久しぶりに会えた今も二人の思いは変わらない。知らずにいるのに愛し合っている瞳をしている。ダメだと分かっているのに頼って頼られて。お似合いだ、羨ましい、自分の者にしたい。そう思うけれどラークペイの愛に俺の愛は負けてしまう。俺の愛よりラークペイの愛の方がきっと大きくてずっと強い。それに勝てるはずがないんだ。俺なんかが勝てるはずがない。
こうして二人を眺めているのは彼女の幸せそうな顔を見たいからで、こうして友人の恋を応援するのは友人が良い奴だと本当は知っているから。
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