姫、私は誓います。

「歩けるけど」

「こうしていたいんだ。させてくれ」

抱く腕に少し力がこもった。そんな事をされたら否定できない事を分かっていながら、どうしてするのだろう。卑怯だと思えるけれど、返せる言葉は何もなかった。どうしてこんな事をするのか分からないけれど、こうする事で互いを感じられて安心できた。
心地好く吹く浜風に癒されていた。不安で一杯の私を大丈夫だよと励ましてくれている気がした。人の下手な言葉より自然の優しさの方が励まされる時があったって良いだろう。というより、私はそっちの方が励まされる。霊体としか話して来なかったからと言われてしまえばそこで終わりかもしれない。でも、私は人の優しさより自然がくれる何気無い優しさの方が裏を気にしなくて済むから好きだった。
どれだけ心打つ言葉をくれても、そこに裏があれば気付いた時にもっと傷付く事になるかもしれない。そうなるくらいなら、私はこのまま自然と共に生きたい。