姫、私は誓います。
次第に冷たくなっていく姫の体を抱き締めて何とか温めようとするけれど、止まってはくれない。それどころかどんどん進行していっている。私を愛してくれた姫をこのまま見殺しにする事しか出来ないのだろうか。このまま恩を返せずに目を覚まさなくなってしまうのだろうか。

「どういう事・・・、ケイ・・・」

私はロンマニーにそう言われて把握した。姫に傷は治せない。でも、毒や麻痺、ウイルスなどの異常を自分に取り入れる事によって相手の異常を排除できる力を持っている。肩代わりする事によって、相手を治す事が出来るんだ。
きっと隊長の刺された傷に触れ、毒が塗られている事を悟った姫はその毒を自分に取り込んだ。隊長の手当てを優先させたい姫は毒の入った体でクウとランを呼びに行こうと部屋を出ようとしていたんだ。でも、そんな時にあの義弟に襲われて身動きが取れなくなった。早くしなければ隊長が亡くなってしまうと焦る姫は、毒の回りが速くなる事を承知で必死に抵抗した。
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