姫、私は誓います。
「えぇ、今回ばかりはひどく思い知らされました」

普段から城という建物が似合わないお姫様だとは思っていた。私が見てきたほとんどの王族は傲慢で、私のような医師などに目もくれない。所詮は余所者というような見下した対応をしている。

「あ?」

レイア姫はその概念を覆すほどのお人好しだ。この世界じゃ息が詰まってしまう事だろう。医師なんて病気を治して当たり前。そう思われている中でレイア姫は私を人間として見てくれている。私を一人の人間として必要としてくれている。

「姫様です。彼女が生きているうちは病気になんてなれませんね」

その気持ちだけで、一人の人間として見てくれているだけでどれほどの勇気をもらえているのだろう。それだけでどれほど救われているのだろう。
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