姫、私は誓います。

もしかすると、このメンバーの中に好きな人間がいたのかもしれない。でも、名前を叫んで知らせたのは俺だ。俺が知らせたんだ。俺の声で出てきてくれたのかもしれないと浮かれたって良いだろう。叶わないと分かっているから。分かっているからこそそんな事実だけが俺の支えになっているんだ。

「何を見ておられたのですか？」

何も言わずに姫は俺の涙を拭い、愛おしそうに微笑んでくれていた。そして、背伸びをしないと俺の涙まで届かない姿を見ているととても可愛らしくて体が破裂してしまいそうなくらい胸が高まった。そんな事実を悟られないようにこう聞いたは良いものの、俺は今それどころではない。この胸の高鳴りを治めるのに必死だった。
やっぱり好きだ。この一言だった。でもこの一言が伝えられずに俺を苦しめ、一線を越えないよう制御してくれていた。俺は彼女が好きなんだ。本気で彼女を愛している。そんな思いを墓場まで持っていこうと彼女をそっと見つめ続けた。