街が赤く染まる頃。ー雨 後 晴ー
━━翌朝
さっさと眠りについた俺は、アラームより先に目を覚ました。
雲ひとつない、明るくなった空。
やっぱ今日もいい天気になりそうだ。
そして下から香る、ご飯のにおい。
そんなにおいに、俺は釣られて静かに階段を降りた。
「あ、おはよう。
よく眠れた?」
俺らに、第二の母さんだと思えといい、「お母さんって呼んでね」と言った母さんは、起きてきた俺に笑顔でそう言った。
なんだか、それがすごく懐かしく思えた。
「あー、うん。久しぶりに長く寝たかも。」
「そう、よかった。
もうすぐご飯ができるから、顔洗って着替えておいで。」
この、懐かしいにおい。
ここに来たのは初めてなのに、俺は懐かしいなにかに包まれた。
よくわからない不思議な感情、におい。
そんなモヤモヤと戦いつつ、起きた智樹と朝飯を食いに行く。
なんだろう、すべてが懐かしい。
「大翔くん?おいしくない?」
「え?いや、めっちゃうまいよ。」
「そう、よかった。
いっぱい食べてね。」
「うん。」
なんだろう、まじでなんか…頭がつっかかる。
なんか懐かしい。なんだこれ。