街が赤く染まる頃。ー雨 後 晴ー



「特別じゃなくたって、なんでもない日だって
平凡な毎日が本当は宝物なんだって、今の大翔ならわかるだろ。」


「……なるほどな。」


"いいか?大翔。
誰かのために生きようとするなよ。
いつだって、自分のために生きろ。"

……なぁ、父さん
俺も、自分のために求めてもいいのかな


「大翔~!」


「……心優。
どうしたんだよ。」


珍しくそんなでかい声だして。


「ご飯出来たから手洗っておいでって~!」


「は?飯?
え、じゃあなんで俺今これ洗ってんの?
この野菜はなんなわけ?」


「いやー、大翔のおかげでたくさん採れたわ。
ありがたく明日から弁当に入れさせてもらうわ。」


……このくそ親父…


「ほら、俺なんか見つめてねーでさっさと行け。」


「誰が見つめるか!!ったく」


俺はさっさと手を洗い、手を拭いたタオルをくそ親父に投げつけて家に向かって歩いていった。

めっちゃあちーし、くたくただわ。


「お疲れ様。」


「ほんとだよ。」


……ってこんな話をしてる場合じゃねぇ。


「…心優さ、いつ出発すんの?」


「んーとね、明後日の朝8時成田発の便だから
明日、マンションを出て空港近くのホテルに泊まる予定。」


「明日か……」


そうだよな
成田まで新幹線使ったって3時間近くかかるもんな…


「……じゃあ明日、俺に時間くれよ。」


「なに、見送り?」


「俺も、話あるから。」


「話?今じゃダメなの?」


「あぁ、明日にして。
明日…15時に学校で。」


「…うん、わかった。」


大事な話は、今会ってたってわざわざ呼び出す。
それが俺が生きてきて学んだことだ。


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