街が赤く染まる頃。ー雨 後 晴ー
それから駅につくまでの10分程、当たり障りのないくだらない会話をしていた。
この5年、お互い何をしていたのかとか全く触れることもなく。
なんとなく、俺は避けていた。
聞いたところでなにか変わるわけでもない。ただ5年間離れていたという現実を思い出されるだけだから。
……だけど心優は俺の思いとは違っていて
「大翔はさ、あのあと彼女とかってできたの?」
普通に、離れていた期間のことを聞いてきた。
「……できてたらよかったのかもな~。」
なんつーか、普通にお前を待ってたんだよとか言ってやりたくもなったけど
大事な話はやっぱりわざわざ呼び出して話すのが俺のスタイルだし、素直に待ってたのかと思われるのもなんか悔しくて
なんとなく遠回りな回答をした。
「へぇ、ほしかったんだ?」
「別に。仕事も忙しかったし。」
「……そっか。」
それだけで、なんとなく会話が止まった。
あの日から、恋愛というものは俺の中でストップしていて、どうか心優の中でもあの日から止まっててくれと
儚い願いだけが俺の頭を占領していく。