街が赤く染まる頃。ー雨 後 晴ー
「あ、タクシーいるじゃん。」
「うん。」
無事駅につき、さすがに大人になった俺はタクシー乗り場まで心優を送りに来る。
俺は虚しくここから電車だけどな。
「あのね、大翔」
「ん?」
すぐにつくタクシー乗り場。
俺らに気づいて開いたドアの目の前で心優は立ち止まって俺を見つめた。
「……向こうにいって、
辛い出来事とか嬉しい出来事とかあったとき、私は一番に大翔に話したかったよ。」
「━━━え?」
「自分と闘って自分を許してあげたかったのに
そんな強い自分も、弱い自分も大翔に一番に見せたかったよ。」
そう、儚く笑う心優は最後に下を向いて
「……なんてね。」
と可愛く笑い、俺に目線を戻すことなくタクシーに乗り込んで、ドアがしまった。