君の本気に触れた時…
異性に名前を呼ばれてドキンと胸が高鳴るなんて………彼を相手にありえないでしょ今更…。


「何…?」


なるべく動揺を悟られたくなくて平静なふりをして返事を返した私に、彼はさっきまでの真剣な表情ではなくあくまでも弟の顔でこう言った。


「一緒に食べません?久しぶりに…。」


コンビニ袋を目線の高さまで掲げながらそんな言葉を言った彼はずるい…。

私が家庭教師をしている時、仕事で帰りの遅い彼の両親の代わりに時々一緒に晩ご飯を食べた事があった。

それは近所のファミレスだったり、ラーメン屋さんだったり、時には今日のようにコンビニのお弁当だったり。

私の家で、教えていた時には、もちろん家で一緒に食べていたし。

彼の “久しぶりに…” の言葉には、それを思い出させる力があったし

思い出した私には断れないだろう…っていう彼の策略も少なからず感じていたのに、私はやっぱり断れなかった。
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