夢物語【完】
「あの...?」
「京ちゃん、そんなに睨まないで!」
庇ってくれるの嬉しいけど、それあんま効果ないし。
てか、眉間にシワ入って逆効果。
あぁ、ヤダ・・・。
「サラ」
高成の声に反応したあたし。
その隣で座ってる陽夏ちゃんも同じであたしを庇うように抱き着いてた手を離した。
離すのを惜しむように少し寂しそうな顔をした陽夏ちゃんは「陽夏」と再度呼ばれる名前に渋々手を離した。
「陽夏、来い」
もう征服者って感じの刺さるような声。
聞き慣れてるらしい陽夏ちゃんはプクッと口を膨らませた。
「‥‥へ?」
陽夏ちゃんは嫌がらせのように腰を屈ませ顔を寄せ、あたしの頬にキスをした。
「「お前・・・」」
見事に京平と高成がカブった瞬間。
陽夏ちゃんは耳元で「無神経に私を扱った罰です」と笑った。
いや、最終的に色々と返ってくんのあたしなんやけど!!と思ったけど、そんなん陽夏ちゃんには関係ない。
まぁ、そういう役回りも必要ってことでこればっかりはしょうがない。
苦笑したあたしはお返しに...というか、陽夏ちゃん同様、嫌がらせのつもりで少し距離のあった陽夏ちゃんの頭を引き寄せてドア付近に立つ京平には勘違いできるようにあまり角度を付けないでチュッという音もつけて頬にキスをお返しした。
「あたしも嫌がらせ」
そう小声で陽夏ちゃんに微笑むと真っ赤になって驚いた。
え、なんで?
そう思ってると今度は陽夏ちゃんから京平の方へ走り出した。
で、あたしは放置。
なんじゃそりゃ、そう思ってると陽夏ちゃんと入れ替わりで高成が入ってきて、入ってくるときにドアを閉められた。
もちろん陽夏ちゃんと京平は廊下に出てる。
部屋には高成と二人きり。
「お前、なにしてんの」
ちょっと怒った声。
こっちにも効果はあったらしい。
いらんことした...と後悔しても時は既に遅し。
それに、なにしてんのってこっちのセリフでしょうが。
「そっちこそ何してんの、たーくん?」
笑顔で言ってやると頭を抱えて、「やめてくれ…」と言われた。
やめるわけないやん、こんなネタ。
高成が“たーくん”って!京平もよく笑わずにおれたなって感心。
ヤバイ、ウケる!!!
「笑うな!!」
「や、無理!たーくん、ウケる!!たーくんって誰?!」
ベッドに横になって爆笑し続けるあたしを真っ赤になって見下ろす高成もまた可愛い。
たまにしか会えんから会ったときに知るまた違う高成の顔。
今日はホスト高成とたーくんと二つも見れた。
嬉しいことやけど、面白いが上回って止まらん。