夢物語【完】
「違いますよ。一般論じゃなくて、ナリくんは特殊なんですよ!今まで彼女いましたけど、涼ちゃんは格別です!それくらい“大切にしたい存在”なんだなって思いましたもん」
「え、なに?」
「気付きません?私や京ちゃんや悟さんと違って涼ちゃんだけが違うところ」
私、すぐ気付きましたもん!と胸を張って言い切る陽夏ちゃんに首を傾げるしかない。
特に変わってるとこなんかない。
むしろ逆の方が多い。
あたしだけ扱いが違うような気がしてちょっと寂しいくらい。
彼女扱いとかそういう感じじゃなくて、こうもっとファミリーな感じをあたしにも向けて!っていうのはあるけど、ほんまに特に違うところなんかない。
隣で陽夏ちゃんは「涼ちゃん、鈍い~」って笑ってる。
わからんくて高成を見てみるけど特に変わったとこはない。
むしろ、せっかく合った視線をそらされてちょっと傷ついた。だから思いっきり睨んでやった。
「ナリくん照れてるんですね。まだ気付きません?」
「え、うん。全く」
涼ちゃん、鈍いにも程があります。これじゃナリくんも苦労しますよ、と高成に同情されてしまった。
「“呼び方”ですよ。私や京ちゃんや悟さんが“ナリ”や“ナリくん”ってあだ名で呼ぶのに対して、涼ちゃん一人だけがちゃんと名前で呼んでるんです」
「……それだけ?」
「そうです!」
「え、ほんまに?」
「ほんとです。あとメンバーに顔を見せたのも紹介したのも涼ちゃんが初めてですよ」
「・・・」
「ナリくんをそう呼ぶのは、ご家族と涼ちゃんだけですよ?充分“特別”ですよね~」
私もそうだったらよかったのに~、と羨ましそうに笑った陽夏ちゃんをよそに動揺しまくってた。
だって、そう呼べって言うたのは誰でもない高成。
それも初めて二人で話したあの時に。
あの時からこうなる予定やった?
それが高成の頭の中にあった?
それとも偶然?
たまたまそう呼ばせた女が彼女になっただけ?
あかん、頭が付いていかへん。
嬉しい、嬉しいけど、それ以外に思うことがいっぱいあってごちゃごちゃする。
「初めて出会ったときからナリくんにとって涼ちゃんは“運命の人”なんですよ」
陽夏ちゃんは本当に空気の読めるいい子で、この子なら騙されてもいいって思えるくらいで、本当に優しい子。
こんがらがった頭を沈めるには最高の言葉やった。
「やだ、泣かないでください~!私が泣かせちゃったみたいじゃないですか!!」
それもそうだ、と思ったから「ごめんね」と謝った。
でも泣いてしまうくらい嬉しかった。
ほんまはそういうの本人から聞いて感動して泣くんやろうけど、高成のそういう面がだだ漏れするくらい想われてることが嬉しくて、それを陽夏ちゃんから聞いたのがまた嬉しくて余計に泣けた。
向けた視線の先におる高成とは反らされたままで見つめてる間は合わんかったけど、顔が少し赤かったから陽夏ちゃんは高成に許可取って話してくれたんやと思う。
だから、あたしが泣いてても傍までこんかった。
「なんだかラブラブっぷり見せつけられたら恋しくなっちゃったんで京ちゃんのとこに行きますね!」
いや、あんたが話してくれたんやん、と突っ込みたかったけど「陽夏ちゃん、ありがとうね」と言えた。
行きたいところがあるって言うたのに結局ぶらぶら歩くだけ歩いて京平の元へ行ったのを見ると、それは口実でこの話をあたしにしたかっただけやったに違いない。
それに付き合ってくれるメンバーもメンバーで結局みんな陽夏ちゃんに振り回されてんやん、と笑えた。
すごい仲間思いの集まりで一人のために全員が付き合えるくらい仲間思いで、解決のために全員が動くくらい大切な存在なんやな、て思えた。
そんな仲間にあたしも入ることができるんやろうか?
こんなに騒がせといて一晩でコロッと変わる女をメンバーが認めてくれるやろうか。
この気持ちは陽夏ちゃんに聞いても高成に聞いても答えはわからん。
あたしの言葉と気持ちと行動次第で変わるもんやと思う。
「え、なに?」
「気付きません?私や京ちゃんや悟さんと違って涼ちゃんだけが違うところ」
私、すぐ気付きましたもん!と胸を張って言い切る陽夏ちゃんに首を傾げるしかない。
特に変わってるとこなんかない。
むしろ逆の方が多い。
あたしだけ扱いが違うような気がしてちょっと寂しいくらい。
彼女扱いとかそういう感じじゃなくて、こうもっとファミリーな感じをあたしにも向けて!っていうのはあるけど、ほんまに特に違うところなんかない。
隣で陽夏ちゃんは「涼ちゃん、鈍い~」って笑ってる。
わからんくて高成を見てみるけど特に変わったとこはない。
むしろ、せっかく合った視線をそらされてちょっと傷ついた。だから思いっきり睨んでやった。
「ナリくん照れてるんですね。まだ気付きません?」
「え、うん。全く」
涼ちゃん、鈍いにも程があります。これじゃナリくんも苦労しますよ、と高成に同情されてしまった。
「“呼び方”ですよ。私や京ちゃんや悟さんが“ナリ”や“ナリくん”ってあだ名で呼ぶのに対して、涼ちゃん一人だけがちゃんと名前で呼んでるんです」
「……それだけ?」
「そうです!」
「え、ほんまに?」
「ほんとです。あとメンバーに顔を見せたのも紹介したのも涼ちゃんが初めてですよ」
「・・・」
「ナリくんをそう呼ぶのは、ご家族と涼ちゃんだけですよ?充分“特別”ですよね~」
私もそうだったらよかったのに~、と羨ましそうに笑った陽夏ちゃんをよそに動揺しまくってた。
だって、そう呼べって言うたのは誰でもない高成。
それも初めて二人で話したあの時に。
あの時からこうなる予定やった?
それが高成の頭の中にあった?
それとも偶然?
たまたまそう呼ばせた女が彼女になっただけ?
あかん、頭が付いていかへん。
嬉しい、嬉しいけど、それ以外に思うことがいっぱいあってごちゃごちゃする。
「初めて出会ったときからナリくんにとって涼ちゃんは“運命の人”なんですよ」
陽夏ちゃんは本当に空気の読めるいい子で、この子なら騙されてもいいって思えるくらいで、本当に優しい子。
こんがらがった頭を沈めるには最高の言葉やった。
「やだ、泣かないでください~!私が泣かせちゃったみたいじゃないですか!!」
それもそうだ、と思ったから「ごめんね」と謝った。
でも泣いてしまうくらい嬉しかった。
ほんまはそういうの本人から聞いて感動して泣くんやろうけど、高成のそういう面がだだ漏れするくらい想われてることが嬉しくて、それを陽夏ちゃんから聞いたのがまた嬉しくて余計に泣けた。
向けた視線の先におる高成とは反らされたままで見つめてる間は合わんかったけど、顔が少し赤かったから陽夏ちゃんは高成に許可取って話してくれたんやと思う。
だから、あたしが泣いてても傍までこんかった。
「なんだかラブラブっぷり見せつけられたら恋しくなっちゃったんで京ちゃんのとこに行きますね!」
いや、あんたが話してくれたんやん、と突っ込みたかったけど「陽夏ちゃん、ありがとうね」と言えた。
行きたいところがあるって言うたのに結局ぶらぶら歩くだけ歩いて京平の元へ行ったのを見ると、それは口実でこの話をあたしにしたかっただけやったに違いない。
それに付き合ってくれるメンバーもメンバーで結局みんな陽夏ちゃんに振り回されてんやん、と笑えた。
すごい仲間思いの集まりで一人のために全員が付き合えるくらい仲間思いで、解決のために全員が動くくらい大切な存在なんやな、て思えた。
そんな仲間にあたしも入ることができるんやろうか?
こんなに騒がせといて一晩でコロッと変わる女をメンバーが認めてくれるやろうか。
この気持ちは陽夏ちゃんに聞いても高成に聞いても答えはわからん。
あたしの言葉と気持ちと行動次第で変わるもんやと思う。