クールな同期と熱愛はじめ

「だって、初めてなんだもん」


これが興奮せずにいられようか。高級ホテルじゃないにしろ、こんな贅沢はなかなか味わえない。始まったばかりのイルミネーションのおかげか、十五階から見る夜景はため息が出るくらいに綺麗だ。

窓に張りついていると、桜木くんは「どっちが先に風呂使う?」と聞いてきた。
お風呂と言われると、急に意識してしまうから不思議だ。


「あ、ど、どうぞ。桜木くんから先に使って」


手の平を上に向けて、バスルームの方を差した。


「それじゃ遠慮なく」


桜木くんは、目にどこか意地悪な笑みを滲ませながらバッグを持って私の視界から消えた。私が動揺していることに気づかれてしまったか。
だとしたらちょっと悔しい。彼から動じている様子が全く伝わってこないからだ。つまり、桜木くんは私を全然意識していない。女として見ていないということになる。

……え? となると、挙動不審な私は桜木くんを完全に男として見ていることに?

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