クールな同期と熱愛はじめ

「う、うん」


私の返答に腰を上げ、冷蔵庫からビールを持ってきてくれた。


「ありがと」


それを受け取り、ソファに座る。
この前、風邪のお見舞いにきてくれたときに、すっぴんはすでに見られている。今さら隠し立てすることもないだろうと、気にしないことにした。


「さすがにこの分の請求はできないよな」


缶ビールのことを言っているのだろうと思い、「たぶんね」と返す。部屋代はともかく、冷蔵庫から出したものは自腹だろう。

桜木くんが腰を下ろした拍子に、ふとシャンプーの香りが鼻をかすめる。自分と同じ匂いにドキッとして、香りの包囲網から逃れるべくお尻をずらし、何気なく彼から少し離れた。

シャンプーの匂いにときめくのは、普通は男の人の方じゃないか。私ときたら、いったいなんなのか。女子力がないどころか、男寄りだということなのか。

プルタブを開け、ビールをひと口飲んだ。
テレビではアナウンサーがニュースを読み上げている。無音じゃないことは救いだが、なにもしゃべらないのも居心地が悪い。

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