クールな同期と熱愛はじめ
「ま、宇佐美よりセンスがあるのは認めるけど」
「ちょ、ちょっと! 謙遜って言葉を知らないの?」
まぁ、褒めたのは私だけれど。
「日本人の美徳を俺に押しつけるな」
桜木くんは鼻をひと鳴らしし、ビールを喉に流し込んだ。
――あ、そうだ。言い忘れていたことがあったっけ。
「桜木くんのおかげで、いいことに気づいたの」
「俺のおかげ?」
不思議そうにする桜木くんにうなずく。
「もっと周りをよく見ろって私に言ったのを覚えてる?」
彼は視線を彷徨わせたあと首を横に振った。
忘れてしまったらしい。
「いつも前しか見てないって言われたの。そのときは『フンッ』なんて具合に反発心しかなかったんだけど、そういわれたおかげで今回のプランに盛り込むことができるものがあって」