クールな同期と熱愛はじめ
「私が高校生のときに、病気で亡くなったの」
彼の顔がにわかに曇る。
病気がわかったときには、すでに手遅れだった。仕事に打ち込みすぎて、病院にすらなかなか行かなかったのもあるだろう。
「悪いこと聞いたな」
謝る彼に「大丈夫」と言った。
「父の建てる家が完成したとき、必ずといっていいほど施主の顔がキラキラしてて、『あぁ、私もこうして人に喜ばれる家を造りたいな』って思ったんだ。本音を言えば、私が設計した家を父に建ててもらいたかったんだけどね」
その夢は叶えることができなくなってしまった。
「だけど、喜ばれるどころか、その段階にすらなかなかいけなくて。いつも空回りばかり。カッコ悪いね、私」
自虐して笑う。
こんなはずじゃなかったのに。入社した頃は、私の設計した家がたくさん建つことを夢見ていた。ところが現実には、実施設計にすら辿り着かないことが多い。