クールな同期と熱愛はじめ

高梨さんが手を差し出したので、迷わず自分の手を伸ばす。
ほんの数秒間の軽い握手は、離れる直前にギュッと強く握られた。


「竹中さん、今後のやり取りは、宇佐美さんに直接でよろしいでしょうか?」


部長は一度私を見て、目で探るようにした後、「そうですね、高梨様がその方がよろしいとおっしゃるのでしたら」と答える。
私もそれに依存はなかった。
実施設計になれば、営業を介さずに直接施主とやり取りをすることがあるからだ。


「それでは宇佐美さん、よろしくお願いします。携帯のナンバーが名刺にはないようですが……」


高梨さんは私の名刺の表と裏を確認してから尋ねた。


「あ、申し訳ありません。なにかあった際のご連絡は社の方にお願いしてもよろしいですか?」


いつもそれで不都合はない。
ところが、高梨さんの顔が曇った。


「携帯をお聞かせ願えませんか?」

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