クールな同期と熱愛はじめ

桜木くんの真っ直ぐな目に戸惑いを覚える。
お世辞で言っているようには思えなかった。


「普段、街で見かけているのに、階段とスロープの組み合わせを住宅に使おうという発想は全然浮かばなかった」

「それは、桜木くんが周りを見ろって言ってくれたおかげだし」


あの言葉がなかったら、きっとそんな設計は私もできなかった。


「それを生かせたのは宇佐美のセンスだろ」


桜木くんからセンスを褒められるとは思いもしなかった。
くすぐったくて、頬がつい緩む。


「あいつにそれを無駄にされて、本当に悔しいよ。あいつが施主じゃなかったら、宇佐美の設計した家が建っていたはずなのに」

「桜木くん……」


彼が、私の代わりに唇を噛み締めて苦々しい顔をする。
桜木くんにそうして思ってもらえて、救われる思いがした。


「ありがとう、桜木くん」


< 216 / 252 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop