クールな同期と熱愛はじめ
桜木くんの真っ直ぐな目に戸惑いを覚える。
お世辞で言っているようには思えなかった。
「普段、街で見かけているのに、階段とスロープの組み合わせを住宅に使おうという発想は全然浮かばなかった」
「それは、桜木くんが周りを見ろって言ってくれたおかげだし」
あの言葉がなかったら、きっとそんな設計は私もできなかった。
「それを生かせたのは宇佐美のセンスだろ」
桜木くんからセンスを褒められるとは思いもしなかった。
くすぐったくて、頬がつい緩む。
「あいつにそれを無駄にされて、本当に悔しいよ。あいつが施主じゃなかったら、宇佐美の設計した家が建っていたはずなのに」
「桜木くん……」
彼が、私の代わりに唇を噛み締めて苦々しい顔をする。
桜木くんにそうして思ってもらえて、救われる思いがした。
「ありがとう、桜木くん」