クールな同期と熱愛はじめ
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スーパーの袋を引っ提げ、私は桜木くんの部屋の前へ来ていた。
サンドイッチ片手に自分の席でランチをとりながら、定時で上がるために超特急で設計に取り掛かった。
お尻に火が点いた状態も、なかなかいいかもしれない。まだ完成していないものの、これまでになく仕事ははかどった方だ。
ドアの前まで来ても、インターフォンを押す勇気がまだ持てずに立ち尽くす。人差し指をピンと伸ばし、あと数ミリというところで躊躇していた。
なんせ、あの桜木くんなのだ。私からの風邪をうっかりもらってしまい、絶対に怒っているだろうから。
かといって、ここでお見舞いにいかなければ、それはそれで人でなしだと非難されるに違いない。つまり、私にはこのインターフォンを押す以外に道はないのだ。
肩を上下させて大きく深呼吸し、意を決して押した。
待つこと一分弱。インターフォンから、しわがれた声で「はい」と声が聞こえた。私よりも、ひどい声だ。
「宇佐美です」
名乗ってしばらくすると、ドアが薄く開かれた。