クールな同期と熱愛はじめ

◇◇◇

スーパーの袋を引っ提げ、私は桜木くんの部屋の前へ来ていた。

サンドイッチ片手に自分の席でランチをとりながら、定時で上がるために超特急で設計に取り掛かった。
お尻に火が点いた状態も、なかなかいいかもしれない。まだ完成していないものの、これまでになく仕事ははかどった方だ。

ドアの前まで来ても、インターフォンを押す勇気がまだ持てずに立ち尽くす。人差し指をピンと伸ばし、あと数ミリというところで躊躇していた。

なんせ、あの桜木くんなのだ。私からの風邪をうっかりもらってしまい、絶対に怒っているだろうから。

かといって、ここでお見舞いにいかなければ、それはそれで人でなしだと非難されるに違いない。つまり、私にはこのインターフォンを押す以外に道はないのだ。

肩を上下させて大きく深呼吸し、意を決して押した。

待つこと一分弱。インターフォンから、しわがれた声で「はい」と声が聞こえた。私よりも、ひどい声だ。


「宇佐美です」


名乗ってしばらくすると、ドアが薄く開かれた。

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