クールな同期と熱愛はじめ
「今日は私がお粥を作りに来たんだから許してよ」
「……へぇ、宇佐美がお粥ねぇ」
桜木くんはそんなことを咳き込みながら言い、私を残して部屋へと引き上げた。
それを了承の意味と捉え、キッチンを使わせてもらうことにした。
意外にも綺麗なシンク周り。ダイニングルームもピカピカとまではいかないけれど、整理整頓がきちんとされて清潔感がある。男のひとり暮らしから想像していたものとは、かなり違っていた。
桜木くんがお見舞いに来てくれたときに、私のキッチンに洗い物が残っていたことを思い返して、情けないやら恥ずかしいやらだ。女子力で落とすと宣言したことが滑稽すぎる。
手当たり次第に引き出しを開ける。
小さめの鍋をようやく見つけ、それで大根のお粥を作ることにした。
大根を小さい角切りにし、鍋でだし汁やみりん、しょうゆ、塩と一緒に少し煮る。それから米を入れて、ほどよい柔らかさまで炊き、仕上げに大根の葉を加える。器に盛ったお粥に大根おろしを添えぽん酢を少々。
これで完成だ。
トレーに載せて、桜木くんが寝ている部屋のドアをノックした。
返事がない。もしかして寝入っているのかもしれない。