クールな課長とペットの私~ヒミツの同棲生活~
「ん~、このエビのプリプリ感。フリッターの衣はサクサクでご飯の硬さやふんわり具合と塩気もいいバランスだし。すごい美味しい!」
「だよね! 加納ちゃんの弁当、ホント何食っても美味いから~いつも食えるやつがうらやましいよな」
「アンタは間違いなくその対象外だから安心しなさい」
「なぬ!マジかよ!?ぼく、結構イケテると思ってんだけど……」
「妄想乙。中二病ならよそでやって」
富永先輩と加藤さんが好き勝手にポンポンと会話を交わすのが面白い。漫才みたいなやり取りに忍び笑いをしてると、加藤さんがこちらの手元を覗いてきた。
「加納ちゃん経済新聞なんて読んでるんだ。面白い?」
「あ、はい。今までは気にもしませんでしたが、読んでみると勉強になるし、知ることが面白いと感じるんです」
正直な気持ちを話せば、富永先輩は心底嫌そうな顔をした。
「え~! アタシだったら仕事以外で活字を見るのも嫌だわ~」
どうやら先輩は本も読まないタイプらしく、スマホを取り出して何やら操作を始めた。
「わ、LOINたくさん来てるな。え、土曜の合コンってヒルズ族!?やりぃ!」
片手を挙げてガッツポーズの先輩は鼻歌まで出る始末。ヒルズって……確かIT関連のベンチャー企業がたくさんある場所だったなと思い出す。
たぶん若くてお金がある人なんだろうな、って今なら先輩が喜ぶ理由が理解できた。
「よかったですね、富永先輩」
「ホント、クリスマス前のラストチャンス。ここで一発逆転狙うよ~」
先輩は鼻息荒く、新しい服を買わなきゃと息巻いてた。