クールな課長とペットの私~ヒミツの同棲生活~
(葛城さんに恋人は居ない? それじゃああの女性は……?)
さっき抱き合ってた光景は何だったの? と何だか混乱してきた。そのためかもしれない。いつの間にかすぐ側に誰かが来たのに気づけなかったのは。
突然グイッと腕を引かれて驚けば、背中が壁に軽くぶつかり全身が押さえつけられた。すぐ間近に葛城さんの顔があって、息を飲む間もなく彼が私に唇を重ねてきた。
「んっ……」
まさか、と一瞬目を見開いた。
だって、地下駐車場とはいえここは会社。しかもすぐ目の前に、葛城さんに好意を寄せる桜井家のご令嬢がいるのに。
案の定、チラッと見えた若い女性はこちらを見て唖然としてる。けれど、すぐに葛城さんが身体の位置をずらし顔が見えなくなった。
ただ、彼女の顔を見て混乱気味の頭が少し落ち着いて、彼に抗議の意味で離れようとしつつ胸を叩く。けれど葛城さんは更に私をがっちりと閉じ込め、ますますキスを深くした。
せめて、早く終わってと願って唇をきつく結ぶ。けれど、イタズラな葛城さんの指先が、顎から首筋を伝ってその下まで滑って悪戯を仕掛けていく。ピクッと身体が揺れ、唇を舌先で弄ばれているうちに。くぐもった声が漏れてしまう。
すると待ち詫びていた肉食獣のように、葛城さんの舌が私の口の中にするりと入り込んできた。
まだ慣れない熱に逆らう術を持たない私は、自分を保つだけで精一杯で。せめて人前で乱れないように、と震える膝に力を込めた。