クールな課長とペットの私~ヒミツの同棲生活~
なのに、私は……。
小さな子どもを連れた家族を横目に見て、バカみたいな想像をしてる。
葛城さんと、私と、チョコと。みんなでクリスマスを過ごす光景を。
(押し付けなんて……きっと迷惑だろうけど)
今まで特別な日では無かった聖なる夜。
年末の繁忙期は一段落して、ようやく仕事は落ち着いてるから確実に休める3連休のうちの……1日だけでいい。いつもよりほんの少しだけごちそうを作って。小さなケーキを食べて。プレゼントをする。
それくらい……望んでも良いのかな?
(きっと葛城さんと過ごせる最初で最後のクリスマスだから)
思い切って、お礼を口実に誘ってみよう。
もちろん、彼に迷惑がられたり予定があれば諦める。でも……できたら。ご飯を食べる間の一時間だけでもいい。彼と一緒にクリスマスを過ごせたら……きっと私はしあわせになれる。
たとえ、葛城さんの他の時間が全て別の女性のために使われたとしても。
賃貸情報誌を脇に抱えながら、ラッピングが終わったプレゼントを胸に抱く。
書架の奥にあった恐竜が扱われた映画と小説。それに、ティラノサウルスのフィギュア。私の勝手な想像だけど、きっと葛城さんは恐竜が好きだ。だけど、何らかの理由があって隠してる。そんな気がしてならなかった。
彼に、喜んで欲しい。そして同時に、私の前では本当の自分を晒して欲しい。部屋に緑があれば癒しになる。ストレスや疲れを緩和できたら……そんな願いで、選んだエアプランツを胸でギュッと抱きしめた。