クールな課長とペットの私~ヒミツの同棲生活~



私が「いいんですか?」と訊いても、葛城さんは「構わないし放っておけ」と歯牙にも掛けない。それでも気にする私を、彼は車の助手席に押し込み車を出した。


「今日から4日ぶんの食料を思いつく限り、好きなだけ買っておけ」


そう言われて連れて来られたのは、近所のスーパーマーケット。二階建てのそこはアパートから一番近いお店で、当然私も日常的に利用する。


4日ぶんの食料? それも好きなだけ? 葛城さんの意図がわからずに首を傾げてると、食品売り場入口で彼がカートに二つのかごを載せる。その目が「早くしろ」と急かしているようで、慌てて彼の後を追う。


何でも、という言葉に甘えて薄力粉や生クリームやフルーツもかごに入れる。彼は何も言わなかったけれど、作るものを薄々感づいてはいるかもしれない。

後はそれなりにいろんな食料を買い込むと、さすがにかごが一杯になる。普段の食料に加えて特別な材料もあるから。


ちょっと浮き立った気持ちでレジから催事場を通る時、突然葛城さんが足を止める。クリスマス用品をじっと見る彼は、ポソッと呟いた。


「なにか、必要なものはあるのか?」

「え……」


思いもよらない葛城さんの言葉に、数度目を瞬いてからゆっくりと意味を理解する。そして、動揺しながらもわがままは言えないと考えた。


「あ、あの……大丈夫ですあの……」


そう、私は今でも十二分に彼からいろんなものを頂いてる。これ以上いただくのは心苦しい。


だけど……。



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