クールな課長とペットの私~ヒミツの同棲生活~


「おまえも知った様に、オレの実家の葛城家はSS商事の創立者である桜井家の分家で、何かあれば家から後継者を出すこともあった。
オレには兄と姉がいるが、兄は葛城と万が一の桜井の跡継ぎとして帝王教育を受けてた。兄が生まれた当時はまだ桜井に男児が生まれて無かったからな。兄が桜井の養子となり後継者となる可能性はあった」


私は、ただ黙って葛城さんの話を聞いた。話したい時には好きなだけ話させるのが一番と、お母さんの経験から知ってるから。


「兄は周囲の期待に十二分に応える才能があった。もちろん本人の努力もあっただろうがな。
そして姉は要領よく立ち回るのが得意で、人付き合いも上手く母のお気に入りだった。 もちろん優秀な娘という要素もあったが。

母は、旧家の流れを汲む生粋のお嬢様だったから、プライドも高いひとで。父とはお見合いで結婚したんだ。
だからか、父は表面上は妻を大切にしてはいても、心はそこに無くて。よく違う女性と付き合っていたようだった。

もちろん、母が許すはずもなくてよく二人はケンカしていた。そんなこともあって、母は正妻の意地で二人の子どもを立派に育てようとしていた。その期待に応えた長男と長女に母は満足していたが……年を経て予定外の子どもが生まれた。それがオレだった」


そこまで語ると、葛城さんはふうっと軽く息を吐いた。


「夫婦仲が冷えきった中で生まれたオレは、母が浮気をした末に生まれただの言われて育った。丈夫な上二人と違って、身体が弱かったし。本邸ではなく離れで育てられたんだ。世間の目から隠すように。オレは、父からだけでなく母からも認められない要らない子どもだったんだ」



< 141 / 280 >

この作品をシェア

pagetop