クールな課長とペットの私~ヒミツの同棲生活~



私が買った小さなクリスマスツリーを真ん中に飾り、テーブルクロスが敷かれたダイニングテーブルには、チキンとクラムチャウダーにクリスマスケーキにオードブル。サンドイッチにサラダに……とたくさんのごちそうが並んだ。


「若い人の趣味はわからないけれど、よかったらこれ」


予想外のサプライズで、佐藤ご夫婦からクリスマスプレゼントをいただいた。


中を開ければそれは手編みらしい手袋で、私が毎朝の散歩で手を冷たくしてるからとの話に、自分を心配して下さったと。涙が出るのを止められなかった。


「……あ、ありがとうございます。でも、私こそ……あまり大したものは用意できなくてごめんなさい」


実は、普段チョコがお世話になってるお礼にとご夫婦にもクリスマスプレゼントを用意してあった。床に座る時辛くならないグッズで、あまり高価ではないけれど。奥さんはとても喜んで下さった。


「ありがとう、使うのが楽しみだわ」


ふわりと笑った奥さんの笑顔がお母さんと重なって、人知れず流れた涙をこっそりと拭う。


チョコには、首輪につけられる赤いリボン。意味が解ってるのかわからないのか、彼女は「ワン!」と鳴いて尻尾を振ったからたぶん喜んでくれたと思う。


そして、私は。


震える手で、葛城さんへ包装されたプレゼントを差し出した。


「あの……よかったらどうぞ。もちろん、要らないならお好きになさってください」


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