クールな課長とペットの私~ヒミツの同棲生活~
January~さよならのために




葛城さんは私の兄かもしれない――。




その疑惑は、私の心に重く暗い影を落とした。


だからか、仕事納めの日からなんとなく気まずくて。彼を避ける様な素振りばかりしてしまう。


年末年始も家でゆっくり過ごすという予定だったのに、いたたまれなくて嘘の予定を入れて外出ばかりしてた。


(もしも本当に私と葛城さんがきょうだいなら……私たちはしてはいけないことをしているんだ)


まだまだ社会常識を知らない方の私でも、母親が違うとはいえ父親が同じきょうだいが関係を持つのは良くないと知ってる。許されることでないと。


(なら、私は早く離れなきゃいけない。彼をちゃんと正しい道に戻さないといけないんだ)


そばにいろとは言ってもらえたけれど、恋愛的な意味でないこと位私でも解る。ただ気まぐれに拾ったペットが気に入ってそばに置こうというだけに過ぎない。


大丈夫……私がいなくなったって、葛城さんは何のダメージも受けない。ただ好きな時に抱ける家事もするペットが消えるだけ。


彼を心の底から想う女性はたくさんいる。その中から相応しいひとが彼の横に並ぶんだ。


血のつながりがあるかもしれない私と違って、正々堂々と側に居られる。誰からも認められる美人で教養も能力もあって、身元もしっかりした素敵な人が。


もともと、雑草の様な私が彼の側にいたいと望んだことが間違い。だから……。


早く、正しいあるべき姿へ戻そう。何もかもを。


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