クールな課長とペットの私~ヒミツの同棲生活~
「……大丈夫ですか?富永先輩」
1月も半ばに入った16日。
いつも元気いっぱいで合コン合コンと騒ぐ富永先輩が、ぐったりした様子で休憩室のソファに凭れてる。
「……なんた近ごろダルいんだよね……微熱も続いてるし……風邪かもしんない」
「食欲はあります?」
「ん~……胃が荒れてんのか、なんか食べるとムカムカくるんだわ。胃腸風邪かな~」
そう話しながらも、心なしか顔色が悪い。心配になった私は、あれこれ勧めてみるけど、ありがとうと言いながら全く手をつけようとしない。あれだけ食欲旺盛だった先輩がこれだけ小食になったなんて。よほど体調が悪いんだ、とデザートで持ってきたフルーツヨーグルトを勧めると。顔色が変わってぺろっと平らげたから、ほっと胸を撫で下ろした。
「ありがと~実は朝からあんま食べてなかったんだよね。家にはヨーグルトなんて置いてないから。これ美味しいわ~帰りにまとめ買いしよっと」
お腹に何か入れたら体調も良くなったのか、富永先輩はアハハと笑う。そんな彼女に声を掛けてくる人がいた。
「おい、由利(ゆり)」
振り返れば、それは伊藤さんで。彼はコンビニの袋を手に彼女の傍らにしゃがんだ。
「体調はどうだ? なんか食えたか?」
「ん~……加納ちゃんに貰ったヨーグルト食べた」
「それじゃ夜まで保たないだろ。ほら、このシリアルバー食え」
伊藤さんがコンビニから出したものを見た富永先輩は、パッと顔を輝かせた。
「ありがと! さすが圭介(けいすけ)。アタシの好みバッチリ把握してるよね~」
上機嫌で富永先輩はブラウニーのシリアルバーを頬張った。