クールな課長とペットの私~ヒミツの同棲生活~
「やっぱり、あの二人あっさりくっついたね」
のけ者同士だね! 仲良くしよう、と加藤さんは明るく話しかけてきた。
「え、加藤さんはなにか気づいてたんですか?」
「うん。だってあの二人同期入社でわりかし仲がよかったんだけど、それだけじゃないって思ってたんだ。お互い意地っ張りでなかなか認めようとしなかったけど、やっぱ切欠がないとダメだね」
「実は焦れった過ぎて、いい加減くっつけって。ぼくが富永を焚き付けたんだよね~」と朗らかに笑う加藤さんは一見無邪気に見えるけど。何か……後ろにピョコピョコと動く悪魔の尻尾が見えるのは気のせいでしょうか。
「あ~あ、冬って独り者には辛い季節だよねえ。人肌恋しくなっちゃう~。誰かに連絡取ろっかな~」
スマホを持って操作する加藤さんは、ふとこちらを見て意外なことを言い出した。
「そうだ、加納ちゃん。スマホ持ったんだよね? 連絡先交換して」
「え!?」
本を広げようとした私は、一瞬何を言われたのかわからなくて固まった。すると、富永先輩の目がキラリと光る。
「ちょ、加藤! アンタだけ抜け駆けすんな。加納ちゃん、アタシにも教えて。LOINしよ! アカウント持ってないなら、作ったげるからさ」
加藤さんを押し退けて富永先輩が私に迫って来たから、何だか鬼気迫る様子に顔がひきつった…かも。
結局、その場にいた全員とアドレス交換することになったけど。
葛城さんと佐藤ご夫婦と会社しかなかったアドレス帳が、ほんの少し賑やかになって。ちょっぴりしあわせを感じた。