クールな課長とペットの私~ヒミツの同棲生活~
「で、加納ちゃんは課長からどの程度の話をされたの?」
質問を返されて、話すべきかどうか迷う。けど、加藤さんが明かしてくれるのに話さないのはフェアじゃないと口を開いた。
「葛城さんの家庭の事情をお聞きしました。それから……お父さまやお母さまのことも」
「じゃあ質問。課長の子ども時代で一番の思い出は?」
「……映画を、観たことです。ガチャでフィギュアを当てて、ティラノサウルスが好きになったと聞きました」
私がそう答えると、加藤さんは一瞬目を見開いた後。なぜか両手を握りしめて震えてた。
そして急に身を乗り出すと、私の手を握りしめてジッと見つめてくる。その真剣な眼差しに、私もつられて彼を見た。
「やっと……葛城課長が心を許すひとができた。ぼく、すっげぇ嬉しい。だって課長はしあわせにならなきゃいけない人だもんな」
「はい……私もそう思います。葛城さんはしあわせになるべきだって……でも」
私は、彼に向かって首を横に振った。
「葛城さんがしあわせになる。その相手は、少なくとも私じゃありません。私では相応しくありませんから」
正直な気持ちを伝えると、加藤さんは訝しげに眉を寄せる。
「もしかして、よそよそしくなった原因がそれ? なにかあったんでしょ? クリスマスの後とかにさ」
加藤さんに鋭い指摘をされて、ピクッと身体を揺らせば。やっぱりとため息を吐かれた。