クールな課長とペットの私~ヒミツの同棲生活~
「桜井のお嬢様が、君になにか吹き込んだでしょ?」
「……………」
なぜ知ってるの? と驚きに目を見開くと、また加藤さんにため息を吐かれた。
「正面玄関であれだけ派手にお嬢様にラチられてりゃ、嫌でも耳に入るよ。受け付け嬢の一人はぼくのセフレだし。翌日から明らかに課長を避けてたから、わかりやすいよ、君」
「…………」
「何を言われたかは訊かない。けど、訊きたいことがあれば答えてあげるよ。ぼくが知る限りはね」
呆れた顔をしながらも、きちんと義理を果たそうとする。加藤さんも結局いい人だ。
「……あの、葛城さんのお父様についてです。
その……お父様は……よく違う女性とお付き合いされていたと聞きましたが」
「ああ、勇人(ゆうと)さんね。確かに、彼は浮気性な質で正妻の弥生さんはかなり気苦労されてたみたいだね」
あっさりと知りたいことが知れて、ゴクリと喉を鳴らす。いよいよこれから肝心な部分で、ドクドクと心臓が五月蝿い。
「その……勇人さんは……外に子どもを作ったりしたんですか……?」
他の家庭事情にそこまで突っ込んで良いのかという躊躇いはある。けれど、私は曖昧にしたままあれこれ思い悩むよりも、はっきりさせておきたかった。たとえ後悔するほど傷ついても。
「え、子ども……?」
初めて聞く話なのか、加藤さんは腕を組んでう~んと唸る。祈る様に待っていると、ごめんと謝られた。
「ごめん、ぼくはそこまで詳しくないな。弥生さんの話も三辺さん経由で人伝に聞いただけだから」