クールな課長とペットの私~ヒミツの同棲生活~
そして、今。
男性と私はお互いに背中を向けた状態で身体をバスタブに沈めてます。
すごく広いバスタブは泡の出る機械までついていて、清潔感のある大理石ふうのタイル張り。しかもパネルで操作するオール電化というやつで、道理でガスがましか使わない私には操作がわからなかったはずでした。
「だいたいの使い方は判ったか?」
「は、はい」
お風呂のあまりの心地よさに思わずうたた寝しかけていたけど、男性の声で一発で目が醒めて、慌てて答えた。
「なら、次からはきちんと自分で入れるな?」
「は……はあ?」
次から? なぜ、そんな話が出るのかわからなくて頭の中にクエスチョンマークがたくさん。
(次なんてないのにな……)
背中合わせのひとが何を話してるのか。その真意を掴みかねて、ただ黙っていると。彼はゆっくりと話し出した。
「私の名前は葛城 智基(かつらぎ ともき)。SS商事本社の営業事務課で課長をしている」
「SS商事……あ!」
聞き覚えのある会社名に、そういえばと思い出す。
「私が……昨日面接を受けさせていただいた会社……ですよね」
「ああ、私は君を面接したうちの一人だった」
男性……ではなく葛城さんの正体が判ってすべてが納得できた。
私の顔や名前や住所を知ってたのも、面接官なら当然頭に入れてるだろう事柄。私は緊張し過ぎて面接官の顔なんて憶えていなかったけど。改めてその人に会って、しかも窮状やみっともない場面を何度も見られて。恥ずかしさに顔から火が出そうになった。