クールな課長とペットの私~ヒミツの同棲生活~
でも、それでも。
どれだけ詰られても責められてもいい。私は、このご家族にどうしても伝えたいことがあってここまで来た。
そして、曾おばあさまが私たちを紹介して下さる。三辺さんに続いてひ孫と紹介された時、ゆっくり立ち上がる。
気後れして膝が震えるけれど、頑張れと自分を励ました。
「加納 夕夏と申します。今後ともよろしくお願いいたします」
三辺さんに特訓された角度でお辞儀をしてから、ソファに腰を下ろす。何とか粗相がなく済んで、ほっと息を吐いた。
「……夕夏さんはお見かけしたことがなかったですわね」
「つい最近お会いしたんですの。孫娘が遠くに住んでましたから」
さすがに弥生さんは葛城家の女主人だからか、社交界の主だった顔ぶれを見知ってるらしくて。その記憶力の良さに驚いた。
曾おばあさまがフォローを入れて下さるけれど、疑念の眼差しを向けられていることをひしひしと感じる。やっぱり、弥生さんにとって、ぼっと出の娘は信用するに値しないんだろう。
おそらく、三辺さんなら違う。現に彼女には柔らかな笑みと顔見知りならではの話題を向けてた。なのに、私にはひと言もない。
良家の出身というプライドの高さからか、あからさますぎて取っ付きにくさを感じる。
でも、それでも。私は皆さんと話をしたかったから、思い切って言葉を出そうと決意をした。