クールな課長とペットの私~ヒミツの同棲生活~
「……千夏が亡くなったのを知ったのは、彼女が亡くなって数年経った後でした」
「……」
「当時、正妻である弥生の監視が厳しくなり、千夏に会うことが難しくなっていた。おそらく薄々勘づかれていたと思います、千夏の存在を。
弥生は大人しく見えて実は気性が激しく、ひどい目に遭わされたひとは何人も居ました。
いや、もとはと言えば浮気をした私が悪かったのですが……。
仕事が忙しくなり、時間を作ることが難しくなっていたこともあって、私は千夏にこう告げたのです。 “しばらく遠くにいかないか”――と」
初めて聞く話だった。けれど、間遠くなっていた恋する人にそんなことを告げられたら、それは別れを意味すると取られても仕方ない。
もしかすると、お母さんが絶望して追い込まれたのはその話が原因なの?だから、思わず、責めるような低い声で問いただした。
「……どういうことですか? お母さんと別れるために遠ざけたかったと?」
「いや、違う!」
勇人さんは声を張り上げ、ハッとなった様子で気まずそうに咳払いをした。
「千夏とあなたを護るためだった! 私が持つ別荘にしばらく住まわせて……ほとぼりが冷めたころ、きちんと責任を取るつもりだった!
けれど、千夏と連絡が取れなくなり必死に捜したが……あなたの行方もわからなくて。
千夏の死を知った後、あなたを捜して養女に迎え入れるつもりだったんだ」