クールな課長とペットの私~ヒミツの同棲生活~
「……あくまでも私が勝手に行動しただけです。
だから、これが利己的で迷惑になるとは判っています。私はあなにお世話になって、ご迷惑をかけてばかり。何もお返しできていないくせに、こうして踏み込んでしまうのは厚かましいことも。
でも……
私がいなくなった後、あなたが大切なひとを見つけた時に……むかしのことが原因でしあわせになる妨げになってしまうかもしれない。だから……」
一生懸命に自分の想いを伝えようとしたけど、常日頃から慣れないからか、しどろもどろになって。自分でも何を言っているのかよくわからない。
落ち着いて、もっと的確に簡潔に……と三辺さんのアドバイスを思い浮かべるけど。言いたいことがたくさん出るだけで、今の私には理解が追い付かなかった。
「私も……トラウマはあります。お母さんが亡くなった時……どうしてもっと見ててあげなかったのか、もっと察してあげなかったか……と。後悔ばかりしました」
あの時を思い出すたびに、身を切られる辛さと後悔が押し寄せる。
「おまえはまだ5つの子どもだったのだろう? そんな幼さでは仕方ない……」
「仕方ない、なんてありません!」
おそらく葛城さんは慰めようとしてくれたのだろうけど、私は彼の言葉を遮り声を張り上げた。
「私しか、いなかった! お母さんには……私しかいなかったんです!! 今さら……私がどんなに後悔したって、悔いたって。お母さんは帰って来ないんです……」
感情が高ぶり過ぎたからか、涙があふれて慌てて目元をぬぐった。